まえおき
2019年4月18日から、「LINE@」などの複数あったLINEのビジネス向けサービスが 新しい「LINE公式アカウント」として統合される とのことです。
最近業務でもLINEの公式アカウント導入を検討したりしていて、そのときに見つけた情報なんですが、これ、Bot開発にめちゃくちゃ影響あるんじゃないですか…!?
これまでまったく気づいてなかったので、ちょっと焦ってます…。LINE Bot界隈では周知の事実なんでしょうか。。
→(追記)周知っぽいですね。あとから見て知りましたがSlackでは話題になってました(ちゃんと通知ONにしてウォッチしておこう…)
公式からアナウンスをぱっと見てもよくわからないところもあったので、Bot開発に関係ありそうな部分を自分なりに整理してみます。
公式からのアナウンス
くわしい情報はこの記事にありました。
blog-at.line.me
ここに載っている2つのPDFが最新のアナウンスのようです。
以下、これらのPDFからBot開発者への影響を読み取ってみます。
Bot開発にインパクトがありそうな変更点
料金プランと使用可能な機能
これまでLINE@のプランと、Bot用のプランで料金の表が2つありましたが、これが統合されてシンプルになり、しかも安くなりました。
さらに、 どのプランでもすべての機能が使えるようになる みたいです。
つまり、 フリープランでもMessaging APIのPush APIが使えるようになる のです。
これは大きい!
プランはこんな感じです。
フリープラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
---|---|---|---|
月額利用料 | 無料 | 5,000円 | 15,000円 |
メッセージ配信数(無料分) | 1,000通 | 15,000通 | 45,000通 |
追加メッセージ料金 | 追加購入不可 | 5円/1通 | ~3円/1通 |
あれ?Developer Trialは…?
Developer Trial プランがなくなる
どうやら、なくなるようです。フリープランへ強制移行とのこと。
資料2のP.8には、「Developer Trialプランは、今年夏頃にフリープランへ強制サービス移行する予定です」と書かれています。
ここで「フリープランでPush APIが使えるならいいじゃん」「むしろ友だち数制限がなくなっていいことしかないじゃん」と思うかもしれません。
…が、どうもそう単純な話ではなさそうです。
Push APIの利用が従量課金制になる
Push APIは課金制になるようです。
じゃあDeveloper Trialがフリープランに移行されると、Pushを使うたびに課金されるの??
と一瞬思いましたが、そんなことないです。フリープランといいつつ勝手に課金されたら怒りますよね…。
さきほどの料金表にある、「メッセージ配信数(無料分)」。
フリープラン | ライトプラン | スタンダードプラン | |
---|---|---|---|
月額利用料 | 無料 | 5,000円 | 15,000円 |
メッセージ配信数(無料分) | 1,000通 | 15,000通 | 45,000通 |
追加メッセージ料金 | 追加購入不可 | 5円/1通 | ~3円/1通 |
「メッセージ配信」とあるので現行LINE@での「メッセージ配信」のことを指すように思えるのですが、どうやら「課金対象となるメッセージ種別」(つまり有料メッセージ)という区分があるようで、それの配信/送信のことだろうと思われます。有料メッセージに、Push APIも含まれています。
資料2 P.6より
各プランのメッセージ配信数(無料分)の数までは無料でPush APIを使った送信が可能で、それを超えた分は「追加メッセージ料金」の額に応じた課金がされる、ということなのだと思われます。
ということなので、たとえばライトプランなら「月額基本料金5000円。Push APIなどの有料メッセージは15000通まで無料で使える。それ以上は1通5円だよ」というプランである、ということですね。
ここで注意が必要なのはフリープランです。1000通まで有料メッセージが送れるものの、それ以上追加で送れません。
(Reply APIはこれまでと変わらずどのプランでも無料・無制限)
つまり無料でPushし放題のプランはなくなるということ
- Developer Trialがなくなる
- 今後はPush APIが使えるようになった新フリープランを使う
- ただしPushは1000回まで(追加購入できない)
ということなので、いままでDeveloper Trialプランでできた無料でPushし放題のプランはなくなるというわけです。
ただ、これに関してはBot開発者にとってインパクトはそこまで大きくないような気はしています。
開発・検証で使う分にはフリープランの1000通で十分だし、足りなくなればアカウントを作り直せばいいだけ。
個人利用で趣味のBotを作っていた場合でも、1か月で1000通以上PushしてくるようなBotは現実的にはそんなにない気がするので、あまり問題なさそう。
とはいえ、これまでDeveloper Trialの50人限定でPushを使うBotサービスを展開していた人には影響ありそうです。
50人のユーザーなら、20通ずつのPushで限界です。ちょっと厳しいかもですね。
まぁ、「多人数向けにサービスやるなら、お手軽なライトプランも用意したからお金を払ってね。」ということなんでしょう。
配信数のカウント方法
Bot開発ではいままで意識しなかったメッセージの配信数は、新料金体系では無料枠と課金額に響いてくるので、かなり重要になります。
カウント方法についても変更が入り、これまでのLINE@では吹き出し数で1通と数えていたところを、今後は送信1回につき1通とカウントされるようになります。
資料2 P.10より
現行のMessaging APIだと1回あたり最大5件のメッセージを送れるので、ここの記述がそのままMessaging APIにも適用されるのかは不明ですが、適用されるとすれば、BotからのPushでは同じタイミングで複数メッセージを送るならなるべく1回のPushにまとめたほうが節約できるということになります。
Messaging APIがチャット(旧1:1トーク)と併用できるようになる
ちょっと話は変わりますが、これまた大きい、うれしい変更です。
しかも1:多でもできるようになるとか。そのため、名称が「チャット」に変更になるようです。
ただ、併用と言っても同時に使えるわけではなく、Botのアカウントでチャットを行うには、 Botモードからチャットモードに切り替える ことで使えるようになるみたいです。
このモード切替がどんな仕様かは現時点でわからないですが、
- Bot全体で切り替える
- 対象ユーザーごとに切り替える
のどちらなんでしょう。
前者だとチャットモードにしてあるユーザーと会話中、別のユーザーがBotに話しかけても返事をしてくれないなんてことになって気軽に使えなそうなので、後者だといいなぁ。
後者なら、Botが「オペレーターにつなぎます」って言って人による応答に切り替わる、よくあるパターンが実現できそう。
※追記※
残念ながら前者でした。チャット機能を利用している最中は、全ユーザーに対してBotのWebhookが使えないようです。
これではなかなかBotとの併用は難しそうです。
その他些細なこと
Multicast API って何
上で引用した「課金対象となるメッセージ種別」の中に「Multicast API」という記述がありました。
名称からして、複数ユーザーへ同時にメッセージをPushするってことでしょうか。でもそれPush APIの一機能だよね…?
過去、こんな呼び方見たことないのでびっくりしました(普通に使われている呼び方だったらごめんなさい)。
いちおう、Messaging APIのドキュメントにもある通り、
プッシュメッセージは、ユーザーにいつでも送ることのできるメッセージタイプです。1人のユーザーに送る場合は/message/pushエンドポイントを、複数のユーザーに送る場合は/message/multicastエンドポイントを使用します。
というようにエンドポイントが別なんですよね。今後は区別して呼ぶようになるのかな…?
スタンプ削除
メッセージ送信に使えるスタンプから、一部のスタンプ(昔からあったやつですね)が削除されてしまうそうです。
資料2 P.11より
これがチャット機能のみの話なのか、Messaging APIにも関係ある話なのか、これまたわからないのですが、もしそっちでも削除されてしまうのであれば、過去に作ったBotの改修が必要そうですね…。
※追記※ Botも同じくでした。
まとめ
以上、「LINE公式アカウント」統合でBot開発に影響ありそうなポイントを想像込みでまとめてみました。
なんとなく、公式からのアナウンスはLINE@を利用している人を対象したような書きぶりで、Messaging APIの利用においてはどう解釈していいのか悩む箇所が多いなぁという印象でしたが、おそらく4月18日の統合の前後で、Messaging API側のドキュメントも変更されるのだろうと思います。
今回の統合で、公式アカウントの利用やPush APIを使ったサービスの展開を行うハードルはかなり下がった印象を受けます。
これまでPush APIが使えたプロ(API)プランは月額32,400円でしたが、新料金はそれに比べてかなり安くなりました。
「無制限だけど高額なプラン」一択だったものが、使う分に応じたプランを選ぶことができるようになった、というのが今回の変更のポイントでしょう。
ハードルが下がったことで、これからLINE Bot開発がさらに発展していきそうな気がします。
変更の開発者向けドキュメントへの反映も含め、いまから正式移行がとても待ち遠しいです。